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杏里の楽美(旅)日記

小さな爪の世界から、大きな地球を見据えて!TAT社長よしきさんと対談してきた。(47都道府県出張ネイル〜番外編〜)

47都道府県出張ネイルを始めてすぐの時期にご縁した同業界の会社があった。ネイル商材の卸販売を全国に展開されている株式会社TATさん。社内向けの講演依頼をいただいたきっかけで、折角なら兵庫県にある本社へ遊びに行ってみようご挨拶にお伺いしようと今回はこちらから取材依頼をさせていただいた。TAT代表の髙野芳樹さん(以下よしきさん)とたびびとネイリストが語る「ネイルの世界」とは、どんなものなのだろうか…?今回はオール対談形式でレポート!

株式会社TATさんのホームページはこちら

【“恩返し”で業界に貢献したい!2人がネイル業界に入ったきっかけは?】

リッホ「元々TATさんは、よしきさんのお父様が創業者なんですよね?」

よしきさん「そうです。当時はlost generationって呼ばれてるんですけど、経済環境も冷え切って働いてる人たちがとても暗そうで。なんかサラリーマンになるの嫌やなとなんとなく思いながらとりあえず大学に入って、それから何もすることなくて音楽やってたりとか、あと絵描いて個展してたりとか。」

リッホ「えー個展もされてたんですね!」

終始笑いあり学びありの対談の様子。

よしきさん「まあ社会不適合者だったんですよ(笑)。その時にたまたまやることが無くて、たまたま親が起業していて、他にやることもなかったからこの世界入らせてもらったみたいな感じなんです。そしたらやっているうちにネイリストの皆さんと仲良くなったりメーカーさんと仲良くなったり。なんかこう、働くって楽しいなと思えるようになってきて。こんな自分でも誰かの役に立ったりとか、働く喜びを教えてくださった業界の方々に、何とか恩返ししたいみたいな気持ちが芽生えてきたんです。」

リッホ「結構私も通じるところがあって、私も大学の頃は遊んでばかりで音楽サークルに入ったり漫画描いたりとかしてました。就職活動が始まってもどこに行きたいか分からなくて、でも海外生活はやってみたいかもなって思って、ワーキングホリデーのビザを使ってカナダに行ってみたんです。そこでどうせなら英語喋れるようになりたいなって思って一番人と会話できる仕事ってなんだろうって探してた時に、求人の掲示板に載ってたネイリストの募集を見つけてフラッと入ってみたっていうのがきっかけだったんですよ。」

よしきさん「へえ~そうやったんですね。」

リッホ「それでネイルもだんだん楽しくなってきたっていうパターンで。日本に帰ってきて友達にやって喜んでもらったり、それを見て更にこちらもパワーもらえたり。カナダに旅してみてネイルっていう素敵な仕事に出逢わせてくれたって意味では、私も今やっていることって恩返しがベースになっている。両方やってすごく良かったなと思ってるので、ネイル業界と旅業界両方に関わりたいって思ってます。」

【ネイル業界の魅力と可能性、国内外の方向性。】

よしきさん「良いですよね、ネイル×○○っていうのを考えられてて。ネイル自体の認知度も上がるし、掛け合わせた業界に対しても良い影響があるというか。ネイルと美容とかだと近すぎるから、できるだけ周辺の業界じゃないところの方がより効果的なのかなって。」

リッホ「自分の中でも色んな掛け算を試行錯誤している段階ではあるんですけど。でもやっぱり人が新しい業界に興味を持てる時って、自分が好きなものと掛け算されてるっていうのがきっかけの一つにはなるかなと思って。例えば私のお客さんで、日本酒がすごく好きでネイル一切やったことなかった方が日本酒ネイルをやったらめちゃくちゃ感動してくれて、それ以来毎月リピートしてくれているんですね。逆にネイルをやっていくうちに私も日本酒飲んだこと無かったけど好きになっちゃって(笑)。そういう意味ではアートができればネイルって何にでも掛け算できるので、世界はすごく広がるなって思います。よしきさんが考えるネイルの魅力とか可能性ってありますか?」

よしきさん「ネイルの魅力ですね。ネイリストさんって結構、『最初自分はお客さんだった』みたいな人結構多くて。自分もそうやって感動させる側になりたいってネイリストになったっていうのをよく聞くんですけど。なんか生活者の人生を変えたりとか、爪の形が悪くて悩んでる人がネイルやって自信持てて人生変わったみたいな人もいたりして。美容全般そういう力あると思うんですけど、ネイルってそういう力があって尚且つその魅力を知らない人がすごく沢山いる状態じゃないですか。ある意味他の業界と比べたら小さい業界と呼ばれるんですけど、逆にそこにすごい可能性を感じているというか、まだそこに余白がめっちゃ残ってる。ネイルの素晴らしさに気づいていない人が多い分、課題としてはネイリストという職業の社会的価値とか地位みたいなのもまだ伸び代があるので、それを高くしていきたいなって。」

リッホ「それは両方共感で。47都道府県周って、ネイルやったことないですっていう人が8~9割ぐらい。ちょっとマニキュアぐらいだったらやってますみたいな人が残りの割合で。でもこのプロジェクトに関わってくれてから、ネイルってこんなアートできるんですね!って感動してくれて、その後地元のネイルサロンに通ったっていう人がいたんですよ。嬉しいなあと思って。」

よしきさん「素晴らしい活動ですね。そういう意味で言うと、日本のネイルって世界から見たらすごいクールじゃないですか。ホットペッパービューティーみたいなもののアメリカ版は、検索キーワードの上位に#japanesenailartって入ってるとか。それに気づいてない日本人ネイリストは結構多い。でも先ほどの話みたいに国内でネイルアートされてない人結構多いじゃないですか。最初はそれこそワンカラーみたいなのやろうって思ってる人も結構多いんです。もしくはケアしてもらいたいみたいな。そういったニーズに対してネイルサロンさんとかは、無自覚にアートばっかりを露出してしまっているっていうこともあって、こちら(ネイル業界)がやれることと、生活者が望んでるニーズに、溝が結構できてるなって。意図的にもっとシンプルなワンカラーとかケアとか、そういうのをノンユーザー向けに発信してハードルを下げたマーケティングをしていった方が良いんじゃないかって。反面、日本のネイリストならではの繊細で美的な、世界から見たらクールなものはどんどん磨き上げて世界へ羽ばたいてくお手伝いとかしたいなあと思います。」

【自分のためだけではないネイルを。世界平和というゴールをネイルから見据える!】

よしきさん「ネイルそのものが人を幸せにできるっていうのはすごく実感としてはあるので、材料の観点から例えばの話、光合成する素材とかジェルがあったら、つけてデザインもすごい、自分も嬉しい、それが地球環境よくしているみたいにできたらなと。自分のためでもあるけど、私の素敵なネイルは地球環境社会のために貢献しているみたいになったら、それを施術するネイリストさんの価値も高いじゃないですか。」

リッホ「そんな材料ができたら素敵ですねえ!」

よしきさん「自分一人だけが嬉しいネイルじゃなくて、それがなんか人社会地球の役に立っていることが実感できるようなものをたくさんできたら良いな~っていう。僕がたどり着けない可能性もあるんですけど、本当にあの世界が平和になるネイルとか。そういうのができたら良いな。ジョンレノンの積み残しをネイルでやりたいなって思ってるところなんですけど。ジョンレノン好きなので(笑)。」

よしきさん作・ジョンレノン

リッホ「なんかこの業界入って思ったこととして、やっぱり豊かさベースの業界じゃないですか。時間とお金と心の余裕が3点セットで揃っていてネイルってやってみようと思えるのかなって。今47都道府県周っている中で、色んな人から次は世界だね、196か国出張ネイルだねみたいに言われるんですよ(笑)。最初はいやいやどうかなみたいに思ってたんですけど、私もどこまでいけるかですが一旦夢として掲げてみようかなと思って。ネイルが出来ているイコール豊かさの象徴、平和みたいなところに繋がるんだったら、それが196か国でネイルできるようになったらある意味、ひとつの平和の指標になるなと。」

さすがネイル業界の社長…!

【今後の展望ややっていきたいことは?】

よしきさん「先ほど申し上げたようなこの業界やネイリストさん、ネイルサロンさんの価値を上げるために、人社会地球の役に立てる材料みたいなのをご提供していきたいなっていうのがビジョンというか夢ですね。一歩手前でなんか負の部分もあって、まずはこの業界から有機溶剤を無くしたいなっていうのがあって。今オフって結構皆さん悩まれているというか。有機溶剤使わないといけないし時間かかるから新規だとお代いただかないといけない。実は2年前ぐらいに素材の特許を取りまして、光の波長を変えることでオフしたり固めたりできるものなんですけど。有機溶剤使わないのでヘルシーだし、時間もかからないし、それをなんとか実用化できるようにしたいなっていうのがあります。」

リッホ「すごい!やっぱりネイルサロン行きたいけど時間がかかるとか、アセトンアレルギーなんだよねっていうマイナス面の理由で手が出せない人とかも結構いるのかなあと思うので、実用化できたらいいですよね。」

よしきさん「更に一歩手前のところで言うと、まだネイルしたことないとか、ネイルサロン行ったことない人に対してもっとニーズをきちっと汲み取れるようにしたいなと。これは今年リリースしたんですけど、爪ドットコムっていうサイトを作りまして。そこで生活者の人がやって欲しいニーズと、ネイルサロンやネイリストができることみたいなのを本当の意味で繋ぐようなサイトにして、生活者をネイルサロン/ネイリストに向かわせることができたら良いなっていう。」

リッホ「爪に関する色々な情報が集まるサイトって感じですかね?」

よしきさん「メディアですね。分かりやすい形の。やっぱ考えずに”エクステンション”とか言ってしまうじゃないですか(笑)そもそもエクステンションが何かも分からないみたいな。高齢者の方にとってはネイルケアって言われてもピンとこないと思うんですよね。だったら『足の爪切ります』みたいな。そういう差をもっと埋めていけばニーズはある。そういうのを埋められる場所にしたいなと。」

リッホ「国内の中でみるとそうですね。意外とそういうところ。結構ネイルって華やかでキラキラみたいなイメージだから私とは関係無いわっていうような、見えない壁ができたりしがちですものね。」

よしきさん「女性向けもあるし、男性向けも、これからまだまだいけるやろうな。今ちょっと挑戦しているんですけどアスリート向けなんかはかなり役に立てる実感がある。因みに阪神とかのキャッチャーのサインミス防止の専用に貼っているんですけど、蓄光なので夜も大丈夫で。ネイルが役に立てる領域って色々あるんだろうなって思いますね。なんか豊かさとかプラスアルファで生まれる領域の価値もネイルはすごくあるんですけど、生活者の人が困っているけど諦めている領域みたいなのが実は沢山あって。そこにもっとニーズがあるんだろうなと。」

リッホ「確かにネイルだからこそ出来ることって、ただオシャレのためだけでない部分でもありますよね。かゆいところに手が届く感じのスタンスでネイルを広めていくっていうのは、私もプラスアルファの部分だけに目が行きがちだったので意識してみようと思います。」

【世の中の全業界に聴いてほしい!よしきさんのモットーは?】

よしきさん「二宮金次郎が言ってたやつなんですけど、たらいの中の水を自分の方にやろうとしたら向こうに逃げていくけど、向こうに向こうにってやったら全部こっちに来ますよって言ってはったんです。結局自利利他というか、自分たちのために、自社のためにやりがちなんですけど、それをやっぱり業界をあげて利他にしていきたいっていうのはモットーというか、やりたいことですかね。メーカーさんとかスタッフさんも悪気なく『この商品どうやったら売れますかね』みたいな、自社の売り上げが目標になっちゃって、じゃなくて『この商品でどうやったらサロンもっとよくできますかね』みたいな人が増えたら良いなって。もっと言うと生活者にまで目を向けられるかどうか。きれいごとだけじゃなくて、多分現実的にそっちの方が発展性があるんだろうなって思いますね。」

リッホ「やっぱり自分のやっていることが業界や社会や地球をいかにより良くできるのかっていうところですね。私も常日頃考えていきながら、明日からのプロジェクトも頑張ろうと思います。」

全国制覇まであともう少し!

よしきさん「あとは何ですかね、社会的にヒエラルキーみたいなのが存在しているところ多いじゃないですか。それはすごい変えていきたいなと思っていて。今日は撮影があるのでちゃんとした格好しているんですけど、普段はもうちょっとカジュアルでして。前に税務調査入った時に僕挨拶しに行ったら、『あどうも』みたいな感じだったんですけど、うちの税理士さんが『社長です』って言ったら(立ち上がって)『よろしくお願いします!!!』って。肩書で態度変えるの良くないと思いますよって言っちゃったんですけど。そういう人とかシステムが多いなと思って、そうじゃなくなったら良いなと思ってますいつも。」

TATの会社では、社長のこともスタッフみんな”よしきさん”って呼んでるの!みんなが自分らしくフラットでいれる会社なんだろうな

リッホ「確かに。ヒエラルキーとか偏見みたいなものってまだまだ多いですよね。ネイルひとつにしても、会社のルールとしてもNGって訳じゃないけど、お局さんや女上司がネイルしてないから一旦様子見て薄いピンクからスタートしますみたいな。私の同世代だと、まだまだそういうところに逆に気を遣ってネイルの表現を抑えちゃう人も多くて。」

よしきさん「そういう意味で言うともうちょっと世の中寛容になれば良いのになってすごく思う。そういうのに気を遣わなくても生きていけるようになればネイル業界ももっと伸びそうだし。」

リッホ「いつかやってみたいプロジェクトの一つに、結構お堅めな企業の社長やお局さん相手に出張ネイルをして、ネイルの良さを知ってもらってその会社のネイルのルールを全面的にOKにしてもらうみたいなのを考えてます。スカッとジャパンみたいな(笑)。」

よしきさん「その製品や会社のPRになるやつをね、親指にアートしてあげたら名刺交換の時にめっちゃ効きますよね。」

リッホ「そこからネイルの偏見や無駄なヒエラルキーは無くしていきたい。個人的には業界を超えてネイルの魅力を伝えていきたいですね。日本編と世界編のプロジェクトをやりつつ、同時進行でやるかもしれません(笑)。」

よしきさん「音声さん的にはどうですか?モットーがちゃんと言えたかなと…」

リッホ「取れ高抜群です(笑)。」

小さなお爪の世界から、大きな社会/地球まで見据えているよしきさんとの1時間。

目の前のお客様を幸せにしているネイリストのお仕事を、実はこんな社長さんがバックアップしてくれていたんだ。自分の視野とワクワクの気持ちが更に広がったリッホは、47都道府県出張ネイルの関西編をこの兵庫からスタートした。

よしきさんありがとうございました!

To be continued…

【株式会社TAT:よしきさんから学んだこと】

・自分のやっていることが人/社会/地球にまでどんな良い影響を与えられるかイメージしてみよう!

・プラスの価値だけでなく、困っていることを解決する価値も改めて見直してみよう!

・自分のたらいの水はどっち方向?

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