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杏里の楽美(旅)日記

最高のパートナーになるための信頼構築とは?秋田犬トレーナー鈴木さんに聴いてみた。(47都道府県出張ネイル~8/47秋田編~)

リッホ「初めまして~!今日はよろしくお願いします!」

伊藤さん「初めまして~!新幹線、途中で逆走してびっくりしたでしょ?(笑)」(※秋田新幹線は大曲駅でスイッチバッグして逆走する。知らなかったので相当焦って何度もグーグルマップを確認した。)

秋田駅ではナマハゲがお出迎え。

今回の秋田編でアポイントを取ったスタッフの伊藤さんと秋田駅で待ち合わせをし、駅近のお店で比内地鶏親子丼を一緒に食べてからとある施設へと向かった。そこではハチ公ラーメンやお菓子、ぬいぐるみなどのワンちゃんのグッズが並び、入り口の張り紙には「里親募集」のお知らせが書かれていた。今回出張ネイルを受け入れてくださったのは、年々減少する秋田犬の保存・保護活動をおこなっている一般社団法人ONE FOR AKITAさん。その中でも、日本では唯一無二と言えるであろう秋田犬専門のチーフドッグトレーナー鈴木明子さんにネイル取材をさせてもらうことになった。

毎日お散歩は12回!秋田犬専門トレーナーの鈴木さんに話を聴いてみた。

リッホ「秋田犬は何頭ぐらいいるんですか?」

鈴木さん「この近くの建物の中に犬舎があって、そこに5頭、私の自宅に7頭。」

リッホ「えー。じゃあお散歩とかも大変そう…!」

鈴木さん「お散歩は多頭引きできるように躾けてあるけど、犬は他の犬に気遣って自分のペースで歩けなくなるでしょ。お散歩一番楽しみなんだからさ、だから手間でも1頭ずつ。だから12回。1頭20分から30分(2023年1月現在は13頭)。」

リッホ「すごい、それだけで1日が終わってしまいそうな…」

秋田犬ステーションでは秋田犬に会えたり、グッズ売上の一部が秋田犬保護に寄付されます。

鈴木さんがこの仕事に至る最初の最初は、趣味で自身のワンちゃんを展覧会に出場させるというところから。お仕事でも犬に関わることをしようと仙台でペットショップを始め、当時から捨てられた犬を引き取ってお世話をしていた中で、秋田犬のお世話をしてほしいとの依頼が知り合い伝いに舞い込んだという。秋田犬の性格上飼い主にしかなかなか心を開かない特性がある中で、会社の都合で社員が入れ替わり立ち代わりお世話をするという体制。それを聞いた鈴木さんは、悩みに悩んだ挙句、秋田犬の幸せと快適な環境のために、16年続けた仙台のお店を閉め、現在はこのONE FOR AKITAで秋田犬の保護活動をされている。

鈴木さん「何を隠そう、仙台にいた頃は秋田犬が大嫌いだった。お店に来る秋田犬は10頭いたら8頭9頭は噛むから。飼い主さんには良いんだけど、知らない人が爪を切りましょうって足を持った瞬間ウーーーっと来るもんだから、もうどんな高いお金もらっても秋田犬はやりたくないっていうイメージだったの。ところが自分で実際子犬から扱ってみると、こんな頭の良い犬種いないよねっていうぐらい頭良いし、人の心も読むし、飼い方が悪かっただけじゃんっていうのが分かって。要はきちんと訓練をして育てれば、これほど良いパートナーはいないと思う。」

鈴木さんと保護犬の大河くん。飼育放棄され心身共に傷ついていた大河君も今ではこの表情。

小さい犬から大きい犬まで、色んな犬と関わってきての集大成が秋田犬。「今までの私の経験が全て活きてるからさ。」と、ネイルをしながらそうお話してくれる鈴木さんのハッキリした言葉には、ブレることのない信念みたいなものをストレートに感じた。

里親になれる人ってどんな人?

リッホ「このONE FOR AKITAの活動の中で里親さんを募集されているのをネットで見たんですけど、どんな人が里親さんになれるんですか?」

鈴木さん「うちの場合は、例えば里親さんになりたいですっていうオファーが来たとしても、まず犬に会ってもらって犬の反応を見るの。で犬がノーだったらごめんなさいなの。一回捨てられたりしてる子だから、もし万が一また駄目だったってなったらまた捨てられるかもしれない。だから条件も結構普通のところよりも厳しいと思う。最終的には犬がその里親さん希望の方の車に自分の足で乗るか乗らないかだね。」

ONE FOR AKITAに於ける里親になれる条件は、まず小学生以下の子供がいない家庭。何かと時間やお金が人間の子供にかかる時期は、100%の愛情とエネルギーで秋田犬のお世話をしてもらうために、里親さんの対象には入れていない。そして年齢は55歳以下。里親さんのところに行ってから10年近く一緒に過ごす秋田犬を、長く飼い続けてもらうことを踏まえてだ。かなり狭き門だが、そのぐらい秋田犬の幸せを願い、それを必ず叶えるための最大限の環境を用意したいというONE FOR AKITAの想いが伝わってくる。

保護犬だった秋田犬ももちゃん。鈴木さんの愛があってこそのこの笑顔。

リッホ「そのワンちゃんが未来の飼い主さんに心を開けるように鈴木さんはトレーナーとして接してると思うんですけど、どういう行動をすればワンちゃんの心って開きやすくなりますか?」

鈴木さん「こっちから行かないこと。待ってあげること。仲良くなりたいからってこっちから仕掛けない。だからね、秋田犬を引き取って1週間はとりあえず、寝てる時以外は24時間、犬の視界に私が入る距離感で、一緒にいる。で大体3日あれば寄ってくるからさ。」

リッホ「24時間ずっと同じ空間にいてあげる?」

鈴木さん「そう。それは私がどういう人なのかっていうのを確認させるのが一つと、『大丈夫、安心して良いよ』っていう安心感両方。」

“待ってあげること”。愛情と信頼関係を感じてもらうための、第0段階。意外とこれが、人間相手でもすっ飛ばしていたりするものだ。

ふむふむ…とお話しに学びを得ながらのネイル

秋田犬の殺処分は、実際どのくらい?

鈴木さん「秋田犬は警戒心も強いから、収容期間内に人慣れするとかってことはまずあり得ないわけだ。そうなると行政もそこまで時間も手間もかけられないから殺処分になっちゃうんだよね。他の犬種とかっだったら今どこの行政でも殺処分しないで里親さんに繋げるっていう取り組みしてるけど、秋田犬だけ誰も手をつけてないから、じゃあ秋田犬を助けてあげれば良いんじゃないって(立ち上がった)。」

リッホ「今現在の秋田犬の現状はどんな感じなんですか?」

鈴木さん「うちが立ち上がってからは秋田県はずっと秋田犬殺処分ゼロを更新してるよ。」

殺処分ゼロという目標をちゃんと実現し続けているONE FOR AKITAさんはじめ秋田犬保護活動に関わる全ての皆さまの信念をネイルからも伝えられるようにと、親指には文字を入れた。

(「想いをネイルにするということができないだろうか…。」なんでも爪の上に具現化でき、ふとした時にいつでも視界に入るネイルアートに、新しい可能性の道を模索していたここ最近。以前、原宿サロンのお客様のオーダーで好きな偉人の名言を爪に施したことがある。それをお客様と一緒に考え「レターネイル」と名付けたのだが、信念を持って活動されている人にこそ、メッセージ性のあるネイルをご提案するのはどうだろうか。)

秋田犬の魅力を知り尽くす鈴木さんのモットーは?

リッホ「最後に、各都道府県の方々に聞いているんですけど、お仕事をする中で一番大事にしているモットーみたいなのがあったら…」

質問を終えるか終えないかのうちに、すぐさま鈴木さんは答えた。

鈴木さん「秋田犬ファースト。何をするにしても、犬は常に私のそばにいる訳なので。やっぱり縁あってここに来る子に最善を尽くすっていうのがモットーかな難しい犬種だけどちゃんと飼えば、本当に最高のパートナーになってくれるから、そこはもっと発信していきたいと思う。やっぱり飼った以上はさ、目閉じるまで本当に最善を尽くして楽しく一緒に暮らしていってもらいたいなと思うし。」

リッホ「コロナ禍で家にいる時間も長くなって、ペットブームとかも言われてますし、秋田犬って世界的にも(忠犬ハチ公の映画「HACHI」の影響もあって)人気になって注目されている時代ですし、尚のことそういった部分を発信って大事になってきそうですね」

鈴木さん「海外の方がちゃんと飼えてるっていうかさ、大事にしてると思う。動物に対する考え方とか感覚がさ、全然違うから。日本はまだまだだもんね。だって車で犬轢いたってさ、器物破損でしょ。多頭飼育崩壊の現場なんかでもさ、例えばその証拠品として犬猫が警察に押収されるわけじゃん。“証拠品”だからね。だから、ものじゃなくて一つの命としての捉え方ができるような法整備だったりっていうのは、やっぱり日本は必要だと思う。」

ネイルが終わってから、鈴木さんがお世話している秋田犬の1頭の杏ちゃんに会わせていただいた。(通常は秋田犬ステーションでスケジュールに合わせて秋田犬と触れ合うことができる。)こんにちわーと顔を近づけてくれ、リッホと鈴木さんの間に座って3ショットを撮ることができた。

鈴木さん、ONE FOR AKITAの皆さま、ありがとうございました!

「忠犬ハチ公」のストーリーが世界的に人気を博し、秋田犬ブームが海外でも広がっている裏側で、殺処分という悲しい背景に向き合い秋田犬を絶対に殺させないと動いている人々のストーリーが今でもこの日本に共存している。しっかり向き合うということ、信頼関係を築くということは、人であっても犬であっても、同じだ。鈴木さんとONE FOR AKITAさんのように、それを模索し続ける旅こそ諦めない国にしていくべきだ。

【秋田編・鈴木さんから学んだこと】

・“待つ”ことで信頼関係を作れるということも忘れずに!

・動物も、モノではなくひとつの命。

・モットーを聞かれて、間髪入れずに答えられるぐらいの信念はある?

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