「失敗させなよ!」5代続くりんご農家大湯ファームのお仕事スタンスとは?(47都道府県出張ネイル~6/47青森編~)
1月に北海道、2月に北陸と周り3月に向かった先は東北地方(何故か冬に雪国を攻めた)。まだ雪の降り積もる景色を車窓から眺め、新たなる出逢いと旅に期待を膨らませながら、まずは青森県へ向かった。
初日はぶらりと青森駅周辺を散策。JR青森駅から徒歩1分で行ける「ねぶたの家ワ・ラッセ」へ行ってみた。ねぶた祭りネイルも絶対に可愛いだろうなあと、次回の来訪時にネイルしに行きたいリストが増えていく。
新鮮なホタテ定食を食べて鋭気を養い、今回向かった場所は、「青森と言えば…!」の果物を生産する農家さんだ。
津軽弁が分からない…。青森へ嫁ぎに行った朋恵さんの最初の苦悩。
伺ったのは、5代続くりんご農家の大湯ファームさん。りんごの生産は旦那様、販売や経営面は奥様の朋恵さんという素敵な役割分担でタッグを組んで、年間を通してりんごを全国にお届けされている。今回ネイルをさせてもらった朋恵さんは、もともと神奈川ご出身。旦那さんとは神奈川の職場で出逢い、結婚をしてから旦那さんの農家「大湯ファーム」を継ぐために、一緒に青森へ来たという。
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リッホ「農家さんのお嫁さんとして青森に来てどう変わりました?」
朋恵さん「まず、津軽弁が分からない。何言ってるのか分からなくて。外国語みたいで、一人でぽつーんとしてて。いきなりみんな笑い始めたりして、どこが面白い話だったの!?みたいな(笑)。」
リッホ「なんか海外留学のホームステイみたいな感じですね(笑)。」
朋恵さん「だけどもう24年ぐらいたったら、ヒアリングができるの。耳だけは聞こえるようになったから、通訳はできるかな(笑)。」
嫁いだ時はお金が無くて、青森でもお勤めに出られたという朋恵さん。当時インターネットが使えるようになったばかりのころで、その時からネット販売を試してみたものの、すぐには反響が出ず。仕事をして、帰ってからネット販売をやり、気づいたら夜中の2時なんてことも日常茶飯事だったという。美味しいりんごを作ることに注力した旦那様と、りんごを沢山の方に届けることに注力した朋恵さん。ありとあらゆる試行錯誤をした20年以上の年月を経て、今では全国に大湯ファームさんのりんごを楽しみにしているお客様がいらっしゃる。
りんごのおかげ。りんごのおかげ。りんごが繋ぐ様々な幸せとは?
朋恵さん「りんごは自分のためにも、健康の意味も兼ねて食べていて、お通じがすごくスムーズになりましたね。」
リッホ「りんご一個で医者いらずっていうことわざがありますものね!」
健康面でもポジティブな影響があるりんごは、自分の身体のためにと定期便で注文し続けてくれるお客様が多いという。専用の冷蔵庫を使って安定的に供給し、スーパーに並ぶりんごよりも更にパリパリの鮮度を保ってお届けされている。
朋恵さん「農家は季節労働が多くて、冬場ってなかなか仕事が無くて。うちはこういう発送もしているので、働くスタッフさんも通年雇用で来ていただけるんです。これもりんごのおかげだと思ってて。それこそ日持ちしない果物やお野菜とかもいっぱいあるので、りんごで良かった。ありがたいな~と思って。」
リッホ「スタッフさんはどんな方がいらっしゃるんですか?」
朋恵さん「秋とかはすごく忙しくなるのでバイトさんにも手伝ってもらうんですけど、募集かけると、大学生とか若い子たちがいっぱい来てくれて。私たちも大学生と知り合うってそんなにないんだけど、こうやって来てくれるとか、農家に携わってくれる人が増えるのがすごく嬉しくて。力仕事とかもあるけど、男の子とかもワイワイやってくれたりして。りんごを育てるのにも沢山人手がいるので、これもりんごのおかげだなと。」
自分の育てたりんごが健康にも繋がり、通年で提供できることで経済的にも安定し、人手がいるお仕事だからこそ沢山の人にも出逢える。何よりそれを、「りんごのおかげ」と自分の作っているりんごそのものに感謝している朋恵さん。リッホも、ネイルのおかげでいただけているもの、そういえば沢山あるなあ。
失敗させなよ!人に任せる怖さ、人に教える難しさ。
リッホ「逆に農家さんとして大変なこととかってありますか?」
朋恵さん「やっぱり親子って(やり方の価値観の違いとかで)揉めるんですよ。でもスタッフが来て、主人はお父さんの気持ちが分かるみたい。人に教えるっていうこととか、スタッフの自由にやらせるっていうことがすごく難しいって。自分のやり方しか自分は分からなくて、それを押しつけたくなっちゃう。でもね、スタッフも自分が作った物っていうやりがいが無く、言われたことだけをやっててもやっぱ成長していかないし。あなたも失敗したでしょ?失敗させなよって言うんだけど、それがちょっと怖いんだよね。」
リッホ「これってすごい真意を突いてるというか、どの分野でもありますよね。」
朋恵さん「私たちはりんご農家を育てたいから。ただの作業員だったらやっぱりちょっと違うよねって。結局農家をやったこと無い人でも、やりたかったらできるよって。だったら色んな経験させないと、りんご農家にはなれないよね。『こうやったらうまくいかなかったよね』っていうことも大事だよね。」
5代続いているからこそのこだわり。伝統。やり方。ある意味それを一旦フラットに、まっさらにして、任せてみるという難しさ。親子や上司と部下の関係でも、きっと世界の色んなところで、この葛藤にぶち当たっている人は多いのではないだろうか。でも、クローンや作業員やロボットではなく、人間としての“本当のプロ”を育てるには、失敗の道は通って然るべき。朋恵さんの言葉は、未来の自分に向けてもしっかり心に留めた。
大湯ファームさんの6代目跡継ぎはどうなるの?
完成したネイルアートは、もちろんりんごがテーマだ。右手に赤りんご、左手に青りんごのカラーを使い、丸いりんごと半分に切ったりんごのアートを。中指には、大湯ファームさんがお客様にお届けしていたりんごの花が印象的だったので、白くて小さなお花の真ん中に金の粒をのせてみた。
リッホ「今後の大湯ファームさんはどうなっていくと思いますか?」
朋恵さん「息子いるけど、やるかどうか分からない。自由人だもん(笑)。だからそうなったときに、やりたい人がやれば良いんじゃない?って私は思ってて。そういう会社作りというか仕組み作りみたいのが大事かなって思っていて、敷居が低ければ農家さんも増えてくるのかなって。だってやりたい人いるんだもん、こうやって。」
リッホ「次世代の跡継ぎが自分の子どもじゃなくても良いんだよってところですよね。全国の農家さんとか、そこで悩んで結局辞めてしまう人達っていっぱいいると思うから、その考え方は大事ですね。」
朋恵さん「そこの敷居がね、自分の考え方を変えるのができるかどうかなんですよね。自分の固定観念があるとなかなか難しいかもしれない。そのハードルが無くなれば何でもできるんだけど。」
リッホ「まずそこが第一関門みたいな感じですね!」
帰り際。お土産にリッホもりんごをいただいた。帰ってからホテルで食べたら、甘くてシャキシャキ。とっても新鮮な歯ごたえを楽しみながら、頭の中はもっともっと柔軟にしていきたいなあと今日の学びを反芻した。
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【青森編:朋恵さんから学んだこと】
①自分の仕事そのものから受ける恩恵はお金以外にも沢山ある!
②人を育てるにも失敗前提!沢山失敗して成長していくもの!
③世代交代に固定概念は無し!続けていくための柔軟さが大事!
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