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杏里の楽美(旅)日記

福井県よ、都会化するな!「第二の実家」玉村屋の地域活性ビジョン(47都道府県出張ネイル~2/47福井編~)

北海道のアイヌコタンを後にして、次なる目的地は北陸へ。人生初めての北陸は、リッホにとって未知なる領域。新幹線と電車に揺られながら移りゆく雪景色を眺め、目的地のホームページを検索した。

「暮らすように旅するあなたに、ローカルだけど最先端な場所。そんな『第二の実家・玉村屋』であなたのおかえりを待っています。」

玉村屋公式HP→ https://tamamuraya.jp/

結構タイムスリップ感あるよ

降り立った先は、福井県南越前町。かつて北国街道の宿場町として栄えた今庄、南条、河野3つの地区が合併してできた、歴史的にも交通の重要拠点となった場所だ。

日が沈む中、築年数が高そうな家々が並ぶノスタルジックな雪道を歩いていくと、玉村屋の看板が見えてきた。

「Instagramって何グラム?笑」こたつでちゃんこ鍋を囲み、ボードゲームで夜更かしする福井の夜。

福井に降り立ってほんの1時間ほどで、玉村屋と地域の方とは家族のように馴染めた。玉村屋スタッフさんののっちさん、けんけん、地域の工務店のみつぐさん、そして自称「玉村屋非公式営業統括本部長」の西川さんと5人で夕食を囲んだ。

実家より実家感。笑

現在はコロナの状況を見ながらではあるが、玉村屋ではこうした地域の人との交流ができるご飯会を開催してくれたり、ボードゲームをみんなでやったり、地域の人と一緒に様々な体験イベントを開催している、たいへんアットホームなお宿だ。

旅に出ると、現代はどうしてもGoogle検索で観光地や食事処を自分だけで検索できてしまい、ネット上で話題の“映えスポット”を撮りに行って、SNSに載せるだけになることも多いのだが…

旅の醍醐味は、そこでしか出逢えない人と出逢い、そこでしか見聞きできないコアな一次情報をゲットできることだ。この場所では、アナログだけどきっと永遠に変わらない、本質的な「人との交流」を思い出させてくれた。現代はデジタルの世界に没頭しすぎて気を病むこともあるけれど、「Instagramって何グラム?」ってゆったり笑って過ごせるぐらいの方が、もしかしたら幸せなのかもしれない。

「何もないが何でもある。」福井県の生きていく道は、「都会化しない」こと。

今回の出張ネイルは、玉村屋創業者の中谷さんとオンラインでお話しながら、福井の地域でイベント等を運営するとみさんにネイルをするという初の3人体制の試みだった。またまたネイルの場所も前代未聞のこたつから、玉村屋の取り組みや地域活性のことについて聞いてみた。

中谷さん「福井県の生きてく道って、ほかの地域みたいに、『都会化しない』ことだと思うんですよ。みんな東京を目指しすぎて、どこ行っても同じような店があって、施設があって、これだったら自分の近くにあるなってなっちゃうと思うんですけど。そういう意味では、福井県ってそこがあまり進まなかったんですよね。効率化からは置いていかれてるんですけど、東京で味わえないような産地直送のものがあったりとかする。そういうのがちゃんと変に近代風にするんじゃなくて、残していくのが大切なのかなって思ってるんですよね。」

中谷さんは学生時代自転車で日本一周した経験があり、当時様々な地域の方に優しくしてもらい、助けられたという。だからこそ「このような温かい場所を残したい」という気持ちで、地域おこし協力隊に入り、福井で玉村屋を創業したという背景を持つ。都市化するのも活性化かもしれないが、あえて残すというのも活性化。中谷さんの玉村屋をはじめとした地域活性の取り組みは、言わば「人生を賭けた恩返し」だ

かわいい子には旅をさせよ。玉村屋マークに込められた3つの点と丸の意味。

お話をしていきながら、とみさんのお爪には玉村屋の部屋の名前にもなっている柿、梅、蓮のデザインと玉村屋のマークを描いていった。今庄の干し柿は燻して作られ、河野の梅は木の上で完熟させてから、甘く黄色くなってから収穫という日本でも珍しい生産法だ。産地の少ない蓮と合わせたこの3つは、他の都道府県にはない福井ならではの推しだという。玉村屋でも、季節に合わせて干し柿体験、梅ジュース作り体験、蓮収穫体験ができる。

リッホ「この玉村屋のマークはどんな意味なんですか?」

中谷さん「あれは点が三つあると思うんですけど、まずゲスト(玉村屋を訪れる人)と我々スタッフ(お迎えする人)と地域住民の三つなんです。でもその丸は完全に丸じゃなくて、最後ちょっと空いてるんですよ。丸が全部ふさがってないので、緩く繋がってて、要は出入りができるという。入りたかったら入っていいし、どっか行きたかったらどっか行っていいし、っていう意味合いです。

とみさん「一回外に出てみないと(地域の良さが)分からないのもあるよね。視野が広くならないと目の前のことの良さは分からないんじゃないかなっていうのはすごい感じてて。」

いつでも外に出て、いつでも帰ってこれる。そんな温かいコミュニティが、日本全国にあったら…。人間は、何も一極集中でそこにいないといけない訳ではないのだ。色んな場所に行くからこそ、それぞれの良さが分かってくるし、受け入れる人と訪れる人でたくさんの情報や経験や温かい感情を交換できるのだ。

中谷さん「僕が感動した言葉で、玉村屋に出入りしてる西川さんが言ってたことなんですけど、「過疎化」って、人口が減ることじゃなくて、その住んでいる人達の心が寂しくなることが過疎化なんじゃないかなって。これって本質突いてるなと思っていて。日本全体の人口は絶対に今後減るけど、減ったとしてもそこに住んでる人達が、ここに住んでて良かったなとか、楽しい毎日を送っていれば、それは決して過疎化じゃないと思ってるんですよね。だったら、外からゲストの人が来てくれて、地域の人と関わってくれることで「楽しかった」と言ってもらえるなら、それは過疎化にはならないなと思ってて」

Instagramって何グラム?と昨日笑い合っていた非公式営業統括本部長と、中谷さんの心からの想いだと思った。これは福井県を初めとした地域の人達にとっても前向きになれる素敵な価値観だ。

「第二の実家」から次なるステージへ。玉村屋の今後を聞いてみた。

中谷さん「今までは”第二の実家”っていうコンセプトでやってきたんですけど、3年を終えて4年目からは、”泊まれる寺子屋”をテーマにやっていきたいと思ってます。地域に来てもらって色々な人に触れあってると、そこから学んで帰ってくれる人が多くて。たとえば地域の生き方とか考え方とか、作られてる現場とかから。寺子屋って古くからは、地域の中の人で教えられる人が教えてたんですよね。そういう意味では、地域に住んでる人達が持ってる特技について話してくれるっていうこと、外から来た人も特技を持ってたらそれを教えてくれるってなったら、決して観光地という感じじゃないけど、生きてくことができるし、新しい知恵が生まれたりする。そういうことを4年目からは目指してます。」

玉村屋と地域の皆さま、ありがとうございました!

取材が終わり、もう一泊だけお世話になって、次の日の早朝、スタッフのけんけんが用意してくれた甘い梅肉とつやつやのご飯と温かい味噌汁をいただいてから、玉村屋を出た。「また、柿と梅と蓮が実際に見れて体験できる季節に戻ってきたいなあ」と南越前の歴史的な家々と雪景色を眺めながら、金沢行の電車に乗った。

中谷さんのモットーは、「やりたいことはやる。やりたくないことはやらない。自分で決める。自分で選ぶ」。人生のやりたいことリストは、自転車で日本一周した中谷さんのように、実は行きたいとこリストから始まるのかもしれない。

【福井編・中谷さんから学んだこと】

①むやみに競わず、”他と違うここにしかないもの”を大事に残そう。

②人口減少と心の過疎化は比例しない。むしろ往来を楽しんだもん勝ち。

③自転車を走らせたら、使命が見つかることもある。

To be continued…

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